お知らせ

2025.07.27お知らせ

免疫チェックポイント阻害剤の薬効解析に関する研究成果が英文でプレスリリースされ、英文サイトで紹介されました!

現在、免疫チェックポイント阻害剤はがん治療で様々ながん種への適応が拡大しています。一方で、奏効率が必ずしも高くないことは課題として挙げられています。当研究室では、マウスモデルで薬効に影響する体内動態の要因などの解析を続けてきました。

抗PD-L1抗体の2種類の異なるクローン10F.9G2およびMIH6を担癌マウスに投与すると、10F.9G2では抗腫瘍効果が得られませんでした。一方で、MIH6では抗腫瘍効果が得られ、抗腫瘍効果が大きく異なっていました。今回の研究では、両クローンでなぜ抗腫瘍効果に差が生じるのかを解析した成果です。

両抗体の体内動態などに大きな差はありませんでした。しかし、10F.9G2投与後に血中T細胞が減少していました。10F.9G2は抗体依存性細胞障害(ADCC)活性があるため、PD-L1を介して結合した細胞に対して殺細胞効果を示します。MIH6はADCC活性がありません。一般に、PD-L1はがん細胞に発現しているとされていますが、一部の患者さんでは抗腫瘍免疫を担うCD8陽性T細胞にも発現することが報告されています。今回、ADCC活性を有する10F.9G2がADCC活性を介してCD8陽性T細胞を殺傷することで減少し、抗腫瘍効果が得られなかったと考えられます。

本研究により、がん免疫療法が奏功しないメカニズムとしてADCC活性を有する抗PD-L1抗体では、T細胞の殺傷が原因となる可能性が示唆されました。


本研究の成果は、Int J Pharm誌に掲載され以下のサイトにて英文プレスリリースや成果が紹介されました。


【EurekAlert】

https://www.eurekalert.org/news-releases/1092132

【CHIBADAI NEXT】

https://www.cn.chiba-u.jp/en/news/press-release_e250724/

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